8篇の詩 = sonnet =

2022.06.17 ALL, イベント情報, 取扱いアイテム

開催中の企画展、『 sonnet 』より。

 

ouvrir さんとmisaki takeuchi さん、お二人が共作してくださった “フェーヴの飾り箱” 。
一緒に手を取り合って織りなす世界に、僭越ながらSUNNY CLOUDY RAINYが詩を添えさせていただきました。

 

 

8_ horse

草原を軽やかに駆けていくその姿は
まるで風の一部になったよう
黄金色に輝くしなやかなたてがみは
太陽の光を写しとったよう

放牧馬が草花を食むことで
なんてことのないその行為が生態系を保護していることもあると知る
長い歴史の中で
そっと暮らしに寄り添い人々の生活を支えてきた生きものだと知る

先を見つめる凛とした瞳も
こちらに何か語りかけてくるようなやさしい表情も
ゆらゆらと心地よく揺れる尾毛も
太陽の下でまどろみゆったりと過ごす様子も

全部全部愛おしく思える
これからもずっと共存していく

 

 

7_ fox

横顔の見つめる先は
まだ分からない杳々たる未来ではなく、隙間からのぞく目前の眩しい未来
自由に見えるその足取りは
時に臆病に、時に大胆に、それでもまっすぐに先を見据えて歩み始める

どこかで交わした言葉
そっと心の奥に仕舞ったまま
どこかですれ違った誰か
過去と現在の断片をつなぎ合わせる

おはよう
あたらしい朝
ようこそ
あかるい未来

まだ色のないあたらしい一日のはじまりは どんな色にもなれる
まだ誰の足跡もないこの場所は どこまでも進んで行ける

 

 

6_ butterfly

わたしだけの
還る場所を探して
いろとりどりの
日々を飛びまわる

重ねてきた長い時間のなかで
編まれた甘い記憶
重ねてきたいくつもの出来事によって
確かに刻まれた記録

ここにはずっといられなくて
思わず目を逸らす
ここにずっといてほしくて
そのまなざしを見つめ返す

舞う 揺らぐ 熱を帯びる、いったりきたり
やがて思い染める 花の日

 

 

5_ swallow

その姿がその声が
春を告げる
遠く遠くあの空の向こうから
春がやってくる

過ぎてゆく日々に置いていかれないよう
うまずたゆまず生きていく
ここにいることを確かめられるよう
歩みを止めてしみじみと振り返る

暦を眺めて
今日の空を想う
季節の句読点を読み取って
また違う空を知る

日毎移ろいゆく 花のいろ、風のにおい、水面の輝き
瞼の裏に焼きつけて またひとつ先へと邁く

 

 

4_ edelweiss

うっすらと白い雪をまとったような姿は
清らかで気高く、
高い山の岩場の陰で静かに咲く様は
楚々としてどこか儚く、花々の咲く小径はまるで夢のなか

輪郭をなぞって
そのかたちを確かめようとする
軌跡を辿って
ここにある確かなものをつかもうとする

いつかの空想のなかで想い描いたもの
いつまでも忘れられない夢
いつか出会った宝物
いつまでも忘れたくない大切な想い出

風に吹かれて立ち止まる
曖昧だった夢の輪郭が今くっきりとしていく

 

—–
※撮影に使用したウスユキソウ(日本のエーデルワイス)の押し花は園芸用のものです。特別保護地区や特別地域での高山植物の採取については法律で禁止されています。
—–

 

 

3_ shell

波間に揺られて流れ着いた
どこかの浜辺
おおきさもかたちも様々
どこを見渡してもそれはたったひとつの存在

誰かの手に取られ
その手のなかでそっと大切に愛でられたり
見初められなくても
静かに海を見つめて過ごす

あわく過ぎゆくその時をつかまえて
掬えるのはその一瞬か
泡沫の日々のなかで
想いを馳せるのはその長い旅路

削られて、欠けて、傷がついて、なおうつくしい
時を経て、深みが増して、一層まばゆい

 

 

2_ swan

季節を越えて
空を駆けてゆく
冷たい水面を進んで
悠々と泳ぐ

高く高く高く 羽ばたく
白くおおきな翼で 優雅にどこまでも
舞う舞う舞う はらはらと音も無く
白い羽根の落としもの

泳ぐ泳ぐ泳ぐ 遠く
湖面に描かれた波紋はゆっくりと広がっていき
進む進む進む 力強く
たくさんの仲間とともに

幾度となく巡ってくる季節へ
翔んでゆこう 声を交わしながら

 

 

1_ clover

足元に目線の先に
懸命に咲くちいさないのちのかけら
たくさんのなかに
そっとひそやかに佇む四枚の葉

誰もがずっと変わらずに抱く
高揚する気持ち
出会うことはきっと特別なことではなく
言葉はいらない、ただそこにある

あの日見つけたひとかけの幸せ
いつでも手繰り寄せられるよう引き出しのなか
あの日の約束
いつでも思い出せるよう心のなか

いくつもの偶然が織り重なって
当たり前も特別もいつも隣り合わせ

 

 

 

 

 

最後までご覧くださりありがとうございました^^

受け取る方によってそれぞれの世界で想像していただけるよう、今回いろんな想いを含ませて絡ませて書いてみました。
あまり抽象的になりすぎず分かりやすく、を心がけて。
(一部ソネットのルールから外れてしまっているところもありますがどうか多めにみていただけると幸いです…)

言葉を重ねていく、ただそれだけのことのようで、その言葉がおさまる場所によっても意味合いや伝えたいことが変わってくる。
ひと通り全部を書き上げてから並べて推敲していくことがなかなかに難しい作業でした。

生み出すことはパワーのいること。

作家さん方々が普段どれだけのパワーを使って作品を生み出し作り上げているか、それが今回詩を書くという経験を通して少しだけ分かったような気がします。

わたしのやってみたかったこと、好きなこと、理解して受け入れてお付き合いくださったouvrirさんとmisakiさんに心より感謝の気持ちを込めて。

 

 

 

 

6/10(金)- 6/18(土)

『 sonnet 』

 

ちいさな歌
– 陶と箱が織りなす物語と8篇の詩 –

〈 sonnet(ソネット):14行から成るヨーロッパの定型詩 〉

 

そのちいさな世界は
物語を纏いめくるめく場所へいざなってくれる
そのちいさな物語は
手をとりここじゃないどこかへ連れていってくれる

何を仕舞おう、何を飾ろう
きっとそれはわたしだけの宝物
どこへ行こう、どこまで行けるだろう
物語の中でゆらり揺られて行き着いた先はわたしの深い心のどこか

あのとき憧れたもの
とびきりのおしゃれをしたわたし、広い海を旅して砂浜へ辿り着いた真っ白な貝殻
あのとき見た夢
花々がどこまでも美しく咲く花畑、動物たちが穏やかにくつろぐ草原、どこまでも翔んで行けそうな広い空

両手いっぱいあふれる物語はわたしだけのもの
ちいさな世界におおきな夢がつまっている

 

 

ouvrir さんとmisaki takeuchi さん による共作の作品に、SUNNY CLOUDY RAINYが詩を添えます。

ouvrir さんからは 小箱、
misaki takeuchi さんからは フェーヴ、
KAMIORI KAORI さんからは misaki takeuchi さんの陶パーツを使用したアクセサリー、
それぞれお届けいただきます。

 

※企画展スタートの週末、6/10、11は混雑緩和のため予約制にてご来店を承ります。
来店予約につきましては6/4(土)18時より受付いたします。
予約方法についてはこちらのページよりご確認くださいませ。
※6/12以降は通常営業いたしますが、オープン時間より前に店頭ではお待ちいただけませんため12時以降にご来店くださいますようご協力をお願いいたします。

※ouvrirさんとmisaki takeuchiさんの共作作品は会期中応募を承り、会期後抽選にて販売いたします。
※KAMIORI KAORIさんとmisaki takeuchiさんのアクセサリーは会期中ご予約を承ります。
※作品等のお問い合わせについては恐れ入りますがお控えいただけますと幸いです。

 

 


引き続き当店でも感染症拡大・防止に配慮した営業を行ってまいります。
ご来店のお客様におかれましてもお手数ですが下記ご協力をお願いいたします。

〈SUNNY CLOUDY RAINYからのお願い〉
・マスクご着用の上ご来店くださいますようお願いいたします。
・入り口に除菌ジェルを設置しておりますので手指消毒にご利用ください。

〈SUNNY CLOUDY RAINYの対応〉
・しばらくの間はスタッフもマスク着用にて接客させていただきます。
・窓を開けての換気や店内で手の触れる場所の定期的な除菌・消毒など、随時対応してまいります。